たまぁに庭にテントを張る。
そこでは一人で焚き火もする。

火起こしには細くて折れる枯枝がいい。
そのあと太くて固くて重い枝をくべる。

これで沸かしたコーヒーは格別だ。
傷跡残るスノーピークマグにゆっくり注ぐ。
あつあつのたぎった薫りを音を立ててすするのだ。

コーヒーのあとはこころの友のアルコール。
ウイスキー、スコッチのどれかを選ぶ。
氷は手に入るから、オンザロックとお決まりだ。

氷を鳴らしてちびりちびりと飲み始める。
すると、頭の地虫がジージーと鳴き始める。
そのとき私は山男に変身する。

話し相手は空の彼方の星と月。
風も雲も虫声も、真っ暗くらの闇の中。
優しく私に寄添って相手になってくれるのだ。

ほろ酔い気分になる頃に、どこかの詩人が降りてくる。
この前なんか、杖の芭蕉が一杯くれよとやってきた。
「秋深き隣は何をする人ぞ」と詠んでくれた。

寝袋に入るともうそこは夢の中。