事務所に一日中一人でいるときがある。
猫の寅子が近寄ってくる。
その時、わたしはどのように対応しているか。

「お、寅、元気か!」
「ニャー」
「そうか、何か食べたいのか」
「ニャー」
「何もないよ、と手のひらを閉じたり開いたりする」
すると、
「プイと振り返って別の場所へ移動する」
おい、待て
「寅と呼ぶ」
「低い声でニャーッ」
そうか、
「私が近寄って首の下をなでる」
「目を細くして首を長くする」

これって会話なのかなー?
こっちはいろいろ考えるけど、
寅は一体何を考えているのだろう。
「おーい、寅」
もう来ない。

この寅、
毎朝、事務所の入口で両手を突いて迎えてくれる。
自宅に帰ると、可愛い笑顔の奥さんがいて、
お帰りなさい、なんちゃって、武士の映画の見過ぎだな。