山登りでたまにこんなことをする。人の行かない薮の中を選んで歩く。クマザサが繁り足元は見えない。勘だけが頼りだから山勘という奴だ。迷わないようにいくつかの木にテープを巻いて登る。以前、とても景色のいい広い岩場に出た。そこで弁当を食べた。

その時、この岩から転げ落ちたら誰も助けにこないだろうと思った。少しだけ心細かった。

風景の中で弁当を食べ、お茶を飲み、一息した。そうしたら、漱石が出てきて、人間はある目的をもって生まれてきたのではない。人間は、生まれてからはじめてある目的ができてくるものだ。人間の目的は、生まれた本人が、本人自身でつくったものでなければならない・・・。たまに先輩が出てきて話をしてくれる。

そういえば、地上にはもともと道はなかった。誰かが藪漕ぎでもして道を作っただろう。その後を誰かが歩いて道になったのだろう。

11月は山に登ろう。先日、登山靴を磨いたし、ザックも干した。あとは、テントのゆるくなった紐を買わねば。